マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想” (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選)

アマゾンの商品説明を見れば、6章の各タイトルと概要があるので、それは省略する。どの章も、世の中広い中では小さい分野の天才たちのストーリーだが、これだけディテールを掘り下げて描けるマルコム・グラッドウェルって、たいしたもの。個人的には第3章のナシーム・タレブの話が面白かった。「ブラック・スワン」では、かなり無頼を気取ったようなイメージで、ネクタイ派の同業者を馬鹿にしたり、妙なところは伏せてあって、タレブの考え方はわかっても、具体的にどういう投資戦略をしていたのかはピンとこなかった。「ケチャップの謎」では、その辺が具体的なのと、タレブのコンプレックスや葛藤など、人間的なところに焦点があたっていて、読み物としてずっと面白い。

勝間和代の翻訳は、わかり易すぎだったり、不自然だったりしなくて、よろしいと思った。

マインドマップ記憶術

マインドマップ記憶術
トニー・ブザン
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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記憶のコツはIAM(Imagination + Association = Memory)。キーワードやキーイメージを活用し、覚えるほど記憶力は高まる。関連付けるツールとしては、箇条書きでノートを取るより、よりリッチな関連づけが可能なマインドマップが優れている。以下、自分向けメモ。

・学習時間と復習が重要

 長くても60分毎に休憩

 10分休んだら5~10分復習

 24時間後、1週間後、1ヵ月後に復習。マインドマップ化しておくと復習がやりやすい。

・読書法(MMOST:Mind Map Organic Study Technique)

 ステップ1 ざっと読む(→マインドマップa)

 ステップ2 読書/学習の時間と量を決める

 ステップ3 既存知識のマインドマップを作る(→マインドマップb)

 ステップ4 質問をつくり「目標」を明確にする(→マインドマップbに付記)

これらの準備をした後、概略、要点、詳細、仕上げのつもりで繰り返し読む。はじめから詳細を読むのではない点は、他の読書法でも言っている点。

・具体的な記憶術

 ナンバーシェイプシステム

 ナンバーライムシステム

 メモリールームシステム

脳に悪い7つの習慣

脳に悪い7つの習慣 (幻冬舎新書 は 5-1)
林 成之
幻冬舎
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脳の中にある複数の部位が連動して、思考のサイクルを発生させているので、それぞれの部位の動作を妨げるような習慣を避けることで、よりよく能力を発揮するようになれる、という内容。この本の内容を理解することとは別に、悪癖から抜け出すことは、それはそれで大変なことでもある。自身の価値観とどう折り合いをつけていくかというジレンマもある。

プラットフォーム戦略

プラットフォーム戦略
平野 敦士 カール アンドレイ・ハギウ
東洋経済新報社
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プラットフォーム流行だが、人を集める場を作ろうと思っても、思うように人が集まらないこともある。プラットフォームの価値や、場を盛り上げるための戦略について知ろうと思い読んだ。ポイントだと思ったのは以下。

複数のグループを結びつける(例:合コン)

・利害が一致しないグループ間であっても、さらに他のグループを介在させることで、三者にとって価値提供ができる場合もある。

・プラットフォームを提供する人が一番得をする(例:合コンの幹事)

・プラットフォームを利用する場合には、既存顧客とのコネクションを奪われないよう注意が必要。

・場合によっては、プラットフォーム上にさらにプラットフォームを構築することで対抗。

アイデアのつくり方

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ジェームス W.ヤング 今井 茂雄
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アイディアの作り方:本質

・アイディアとは組み合わせ

・組み合わせを作るには、関連性を見出す能力が重要

アイディアの作り方:手法

1.調査。つい怠りがち

2.独立な事項を書き出し。関連づけ。頭の中の作業。

3.寝かせる。無意識にゆだねる。

4.思いつく瞬間

5.人に話して研鑽する。多くのアイディアはこれに耐えられない。

これだけのことしか書いてない。ポイントのみ。問題は、これを実行にできるかどうか。本質と手法を知っているだけでは役に立たない。

数えずの井戸

数えずの井戸
数えずの井戸
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京極 夏彦
中央公論新社
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分類的には、嗤う伊右衛門(四谷怪談)の仲間か。京極流、番町更屋敷。数えることへの登場人物それぞれの囚われかたを語りきるあたりはいつもながらすごい。が、その語りと結末があまり結びつかない。結局、事件の真相がはっきりしない。数えることや、数えないことと、何か根っこでつながるような衝撃の結末、のようなものを期待したかったのだが。

ねじとねじ回し-この千年で最高の発明をめぐる物語

ねじとねじ回し-この千年で最高の発明をめぐる物語
ヴィトルト・リプチンスキ
早川書房
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『「旋盤の技法」の著者シャルル・プリュミエ神父は次のように述べている。「この芸術は、今日のヨーロッパで知的な人々が熱心に行う趣味として確立されている。純然たる気晴らしと知的娯楽の間に位置するものとして、時間をもてあますことで生じる不都合を避けるための最高の暇つぶしと考え、真剣に取り組む人々もいる」』

この文章を見つけただけで、この本を読んだ甲斐があった。ねじを作ることが、貴族にとって趣味・娯楽で、一方でまじめに産業として取り組んでた人もいた。笑ってしまいそうだが、戦争とスポーツもそういう関係で捉えることもできるし。暇つぶしを、プリュミエ神父のように正面きって肯定的に捕らえ、過不足ない説明をした文章も面白いと思った。