自分を変える! 対人コミュニケーション改善法‾ (マイコミ新書)

人が怖いです。正直。何でこの人は、この人たちは、そこまで人を軽んじることができるのだろうかと思うこと、少なからず。

この本はなかなかいい。著者自身が、かなり重症な対人恐怖症を克服しているようで、前半ではその体験を具体的に話しており、ディテールから作り話ではなさそうだと信じられる。結局のところ、対人恐怖症を乗り越えるには、最後は自分の力で乗り越えるしかないのだが、合理的な判断を冷静に下して、無意味に傷つかないためのテクニックなんかは示していて、役に立つ。感情が先行してしまうと、このようなテクニックを使うことすら忘れてしまいそうなので、たまに読み返すと元気付けられる、という効果もある一冊だと思う。いやな気分の整理学―論理療法のすすめの、論理療法に通じるところあり。あちらが学問的、あるいは治療する側からの見方だとすると、こちらは経験的、あるいは治療される側からの見方のような関係にある。

後半は、初対面の人と会話を続ける方法など、対人恐怖症な人にありがちな場面での具体的な対応策を述べているが、ぜひ続編を出版し、会社の同僚など、日ごろ接する人たちと会話を続ける方法など、各論を展開してほしい。意外と、日ごろ接する人たちは、同じ体験をしているがために、新しい話題がなくて会話が続かなかったりするのではないだろうか。