怪獣記

怪獣記
怪獣記
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高野 秀行
講談社 (2007/07/18)
売り上げランキング: 19434

UMAが見つかったというCNNの報道を発端に、トルコのワン湖まで実際に行って調査するというドキュメンタリー(というのか?)。このジャナワールと呼ばれるUMAは本物か?偽者か?

著者の興味は、UMAそのものより、その真贋や、見たという人々にあるようで、UMAなんているわけない、と思っている人も、トルコ旅行記といった観点で、インタビューした人たちのキャラクターや、取るこの土地柄などを楽しめるのではないかと思う。写真が結構あるのもよい。

最後には、著者らも目撃してしまい、湖にもぐって調べたりする。その目撃したモノの写真が載っているので、本当に見たのかもしれないが、もし写真がなかったら、この本自体、フェイク(偽物)であり、真贋を見極めようとするこの本のスタイル自体をパロディーにしているのか?と思ってしまう。むしろそっちだったほうが、どこまで信じてよいか、煙にまかれてしまって、それはそれで面白かったのではと思った。

はじめは文体が、若干アウトロー気取りなところが気に障ったが、最後まで飽きさせない。同行するカメラマンの森氏は辺境が好きだそうで、UMAはともかく、僻地に行ってみたい人だというのが面白かった。最近、近所でカメラを趣味にしている人を見かけるのだが、カメラのハード自体には興味があっても、子供の運動会以外に撮りたいものがない私にとっては、無縁の趣味だと思っていた。でも、カメラの活躍の場として、辺境というのはアリだなあと思った。カメラを抱えて辺境を訪れるような余暇は私にはないが…。それだけにうらやましい。