運を育てる

運を育てる~肝心なのは負けたあと~、米長邦雄

2004年アジア杯サッカーはジーコジャパンによる日本連覇という結果で閉幕した。サッカーには日ごろそれほど関心はないのだが、準々決勝のヨルダン戦を偶然見た。PK戦までもつれ込んでの勝利だが、勝負の明暗を分けた瞬間がわかりやすい試合だった。

明暗とは、PKを蹴り込むゴールについて日本が抗議を行ったときのヨルダン選手の態度。今大会は中国で行われ、日本選手団、応援団は徹底的なブーイングを受けた。ヨルダン選手は、このブーイングに乗じて、さらに日本を不利にしようと、中国サポーターのブーイングをあおるような行動が放映された。中国サポーターの反日感情とはまったく無関係なところで、相手チームの抗議に圧力をかけようとした態度を、米長流にいえば「女神は見ていた」ということになるのだろうか。ヨルダンは完全に手中にしたかに見えた勝利を逃し、日本は連覇を成し遂げた。

米長氏の著作を読んでからというもの、(広い意味での)勝負の流れを左右する行為などに注意が向いている。たとえば上の例が最近では顕著な例。ほかにもプロ野球界再編の動きの中で、渡辺恒雄氏の古田敦也氏に対する言動とその後の成り行きなどが注目である(ただ、ナベツネ発言は、今のところ決定的な彼の不利には働いていないように見える。それはそれで今後に注目)。