高校数学でわかるボルツマンの原理 (ブルーバックス)

新聞の下側にある書籍広告で見つけ、書店で購入。「わからずに死ねないもの」というのをいくつか持っているのだけど、熱力学と統計物理学もそのひとつ。熱力学第一法則、第二法則というとわかったようでわからない、統計物理学はなんだか面白そうなんだけど、現実とどう対応しているのかわからない、という私には入門編としてうってつけだったように思う。これで、死んでもよくなったとはいえないが、死んでもよくなるための入り口には立てたかな。

アプリオリに高校物理の教科書に現れる気体の状態方程式、熱力学第一・第二法則、熱力学と統計物理の関係など、高校数学だけでは若干無理なところもあるような気がするが、理系大学2、3回生なら、まず理解できると思う。数式をきちんと使っているところがよい。物理の一般教養書で、数式を使っていないことを売りにしているものがあるが、あれは間違っている。数式はちゃんと使うべき。その点、この本はよい。

統計物理学に関しては、マクスウェル・ボルツマン分布とボルツマンの原理の2つぐらいしか説明していないので、この本を取っ掛かりに、教科書を読む必要があるだろう。熱力学のほうにウェイトがあるのは否めないが、熱力学を必要最低限と、統計物理学とのかかわりを、途中の説明を省略することなく、数式レベルで解説しているところに最大の価値があると思う。

熱力学や統計物理で落ちこぼれた人、これから学ぼうとする高校生、大学1,2回生には特にお勧め。