宇宙の定数

宇宙の定数
宇宙の定数
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ジョン・D. バロウ John D. Barrow
青土社 (2005/02)
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物理学を習うと、万有引力定数、光の速度、プランク定数などの、定まった値が現れる。これらは本当に定数なのか、それとも条件等によって実は一定ではなく、ほかの値によって定まるものなのか、さらに一定だったとして、ほかの値になりえた可能性はあったのかどうなのかなど、物理法則を規定するこれらの値に関する議論を広く網羅し、解説した本。

内容は少し難解。図解などを適宜含むが、イメージ図のようなもので、これを見てもきちんと理解できたような気がしない。著者は科学技術ライターというよりは、研究者らしく(文中で自身の理論に言及しているのでそうだと思われる)、一般向けの解説書ともいえないし、もちろん論文でもないし、中途半端でよろしくない。判った気になるためにも、場合によっては大学学部生レベルの知識を要求するものもあると思う。本書の結論としては、基礎定数と思われている値たちは、どうやら定数ではなさそうだ、ということのようだが、まだ決着はついていないということらしい。

宇宙を扱う物理学、量子力学など、ここに独立したように見える理論たちが、基礎定数を通じてどうつながっているか、基礎定数が真に定数なのかどうかは、どのように判別できるものなのか、そこから引き出される結論はどんなことになるのか、といったことが雰囲気だけでもわかると、なかなかに楽しいものではあったので、そこは悪くなかった。宇宙物理学って、Newton誌なんかでは取り上げられるものの、そこから引き出される概念は日常と合致しない。宇宙を記述する数式って、目に触れる機会がない。量子力学は教科書を読むと数式だらけなのと対照的。宇宙物理学の専門書ってあるだろうか(まああるだろうけど)?理解できるものなんだろうか?