ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質

2008年の金融危機を予想した、という評判の高い本だが、それはあとから人が勝手につけた尾ひれ。この本は著者によればエッセイらしいので、それほどわかりやすくは書いていないのだけど、「果ての世界」の出来事は予測することはきわめて困難。それにもかかわらず「月並みの世界」の論理で予測しようとする、「間違ったことを厳密にやろうとする」誤りを人は犯しがち。「月並みな世界」を生き延びてきたヒトの進化の歴史を振り返れば、それは無理なからぬことなのだけど、今では「果ての世界」に変わってしまった世の中で大成功するためにできることは、予測が当たらないと損をするほうには賭けずに、当たらなくても痛くないほうに賭け、黒い白鳥に備えることだという。そもそも、黒い白鳥はどこから飛び出すかわからないから黒い白鳥なので、黒い白鳥に賭けることは不可能なのだ。