「みんなの意見」は案外正しい

「みんなの意見」は案外正しい
ジェームズ・スロウィッキー 小高 尚子
角川書店
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問題解決や意思決定において、優れた個人と、必ずしも優れたメンバばかりではない集団を比較したとき、集団のほうがより賢く、あるいは正しく判断する能力を持つことや、集団のほうが得意な問題のタイプや、集団がうまく機能するための条件まで、詳細に研究した本であり、いろいろな示唆に富んでいる。

集団が得意な問題は、認知(一章)、調整(五章)、協調(六章)であり、集団がうまく機能するための条件とは、多様性(二章)、独立性(三章)、分散性(四章)である。七章以降は、科学、企業、市場や民主主義などのなかで、集団が以下にして機能するか、あるいはしないかの各論である。

扱う事例は、Googleの民主的なランキングアルゴリズムソーシャルネットワークなどの、集合知がもてはやされるきっかけになったような最近のことよりも、動物や昆虫の行動、社会科学の実験、金融市場におけるバブル崩壊、企業や諜報機関が取り入れようとしている予測市場の考え方など、非常に多岐にわたる。