おとなの叱り方 (PHP新書)

おとなの叱り方 (PHP新書)
和田 アキ子
PHP研究所
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アッコさん流の叱り方には、本人に相当な覚悟がいる。覚悟が必要だと思うのは、「相手」をどの範囲に広げるかという問題のことである。大人がまず責任を持って叱るべきなのは、自分、それから配偶者、自分の子供。ここすらできない人が増えたという嘆きは尤も。次に後輩、部下だろうか。この辺までは、相応の立場にある人ならば、叱ることは自分の義務や責任の一部の場合もある。

叱る相手を、この先に広げることは、こんな時代に容易ではない。この辺から相当に覚悟がいる。近所づきあい、ビジネス上のつきあい、親戚づきあい、さらに他人。路上タバコを必ず注意するというアッコさんだが、これはかなり上級クラス。

正直言うと、自分の子供より先は、私は、アッコさんの意味では叱れないと思う。なぜなら、「どうでもいい相手は叱らない」というところに、叱る、叱らないの境界があるのなら、「こいつふざけたことを言ってるな」と思った段階で、かなりその相手はどうでもいい相手になってしまうからだ。ふざけたことを言っても「相手の成長を信じられる」のは、やはり子供までだろう。そういう意味では、よその子でも子供なら叱れる。大人は叱っても、子供に比べれば格段に成長や変化を期待できないと思っているのだ。

ただ、自分を振り返ればそうでもないのかもしれない。人に厳しすぎるのかもしれない。