最後にして最初の人類

最後にして最初の人類
オラフ ステープルドン
国書刊行会
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今まで読んだことないタイプの本。はじめの2章ぐらいは、これは過去のことなのか近未来のことなのかよくわからない。過去を述べているようで、何度かの世界大戦、核の使用、欧州統合など、過去や現在とは微妙に異なる歴史。続いて火星人との遭遇、遺伝子操作による人類の創造、月と地球の衝突、近世への移住、太陽の膨張、冥王星への移住など、完全にSF。さらに微妙に誤った物理学。なんだトンデモ本かと思うが、1930年の作品だと聞けば、評価は180度変わるかもしれない。

ただ、かなり読みづらい。年末からの読書スランプの原因はこれ。だが、文学にこんなことも可能だったのかという意味ではかなり影響を受けた。ステーブルドンは、他に3作ぐらいしかないらしい。訳者あとがきによれば、根強い一定のファンがいるが、日本では細々と読まれている、といったあたりとのこと。本の価値としては、類書が少ないというのはそれだけで大きな価値ではないかと思う。