火村英生に捧げる犯罪

火村英生に捧げる犯罪
有栖川 有栖
文藝春秋
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あとがきによると、携帯の有料サイトでの作品を含む短~中篇集。

「長い影」

収録策の中では一番。心理的な錯覚によるトリックと、昔の一枚の写真がすべてをつなぎ合わせるところなどがお気に入り。

「鸚鵡返し」

これもなかなか。オウムが犯人の名前を明かすだけでは子供でも思いつくが、一捻り、二捻りがきちんとプロの作品にしているような感じ。

「あるいは四風荘殺人事件」

トリック証を文字で追うだけではよくわからない。わかりづらい。

「火村英生にささげる犯罪」

これもいい感じだが、アリバイ工作の苦心が滑稽で、少し現実離れしたかんじ。

「殺風景の部屋」

携帯サイト向け、ということで…

「雷雨の庭で」

うーん、これ、本格嫌いを生む作品のような。偽善者ぶった登場人物とか、妙に気取った探偵や助手など、本格にありがちなパターンがいくつか含まれている。