「お金」崩壊

「お金」崩壊 (集英社新書 437A) (集英社新書)
青木 秀和
集英社
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サブプライムローン問題に始まる今回の金融危機があって、どこまで不況が長引くのか、世界恐慌に本当に突入するのか、気になるどころではなく、生活に直接影響が出るような事態になっている。この本は、金融システムの破綻の原因がについて、構造的な欠陥や矛盾を鋭く指摘する。そもそもお金とは何なのか、英国の戦費調達に際し、イングランド銀行が担った役割が、中央銀行を頂点とする金融システムの起源。このような生い立ちを背負うお金の特徴を、本質に立ち返って解説する。金本位制、石油・ドル本位制の崩壊を経て、お金はその価値の確固たるよりどころを失った。「信用」という実体のないものの上に金融システムが乗っかるに至って、いよいよお金の暴走はとどまる所を知らない。このあたりの説明は、起源に立ち返って、手を抜かず解説してあるので、知識の乏しい読者にもわかりやすいだろう。この点はとてもよく書けた本だと思う。

しかし、金融システムが崩壊に向かう原因として、「お金をお金で買えてしまうこと」というのは、経済活動を行っている大人であれば、なんとなくにしてもわかっていること。もう少し具体的な金融政策などまで掘り下げるのでなければ、あまり得るところがない。環境問題と金融の関係などに関しても触れているが、ゲゼルの理論についてもう少し解説しなければ、それが絵空事にしか思えない読者のほうが多いだろう。

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