国語 算数 理解 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」

必要最小限の会計の知識を通じて、「しごと」を定義する。タイトルは高学年以上の子供向けの図書のように見えるが、それに限らず、これから働く人たち、今働く人たちの不安、疑問に対する何らかの手がかりになると思う。

会計と聞くと敬遠しがちなこともあるかと思うが、この本で解説している会計の知識は本当に必要最低限のものだし、会計の知識自体を解説することが本書の目的ではないので、無駄に細かいことは説明していない。このくらいの荒さだと、会計以外の問題への応用のひとつとして、「しごと」を定義するツールにもなる。まわりくどいといえば、そのとおりなのだが、高学年以上の子供、学生に、漠然と「将来何になりたいか」を問うよりも、このような授業を数時間与えることのほうが実際有用な時代なのである。

ちなみに、amazonの書評だと、タイトルと内容があっていないという評論があったが、それはきっと第三章(水曜日)までしか読んでいない。木曜日以降が奥深い。特に土曜日の章は、「サラリーマンって仕事なのか?」を議論している。あとがきに、非営利団体の「しごと」については書ききれなかったのが心残り、とあるが、この点に関する次作の発刊も期待したい。

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