「超」旅行法

「超」旅行法 (新潮文庫)
野口 悠紀雄
新潮社 (2003/03)
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超整理法の野口氏の「旅行法」とは。職業柄、海外の国際会議等への出張の機会が多い著者による海外ひとり旅のススメ。いつもツアー旅行では、観光地を見たのであって、その国を見たとはいえない。では、脱ツアー旅行するにはどうしたらいいか。

答えは本を読んでもらうとしても、やっぱり海外をひとり旅するには、それなりに自力がいる。事故を起こしたときに、責任をおっかぶされないだけの英語力、といわれると、ちょっと引いてしまう。英語力というよりも、言葉の問題だけでなく、言いなりにならないとか、折れない心とか、機転とか、そういうものも含むのだろう。

30年で70回もの海外ひとり旅を経験した著者ですら、旅は準備しているときが最も楽しく、出発直前は緊張して取りやめにしたくなるし、旅をしている最中は注意も必要だし、ひとりきりだしで、心細いというようなことを聞くと、自分だけが臆病だというわけではないのだと、少し安心する。

自分自身も、回数はずっと少ないとはいえ、単独で海外出張した経験がある。というか、海外出張で単独でなかったことがない。せいぜい半日くらいしか空き時間がないので、近くの観光地や市街地を散歩する程度しかできないのだが、それでも異国の空気を吸えるのはいいものである。

この本で一番考えてしまったのは、「旅から帰ったときに、ここが自分の居場所だと思えなかったなら、生き方を考えたほうがよい。居場所を確かめるために一人旅をするのだといっても過言ではない」という主張である。最近の海外出張へいく飛行機の中でこの本を読んだが、このときはまだ腹をくくりきれていなかったため、家族もいるし、当然日本が居場所だと感じるだろうと思っていた。だが、帰国して少したった今、日本にというよりも、今の生活に非常に違和感を感じる。自分でも意外なほどに。素直に生き方を考え直すべきなのかもしれない。