「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ

世界は狭い=スモールワールド的な話題が、インターネットの普及や近年のweb2.0的なサービスの一般化によって、また新たに注目を呼んで、ネットワーク研究の最近の成果が身近なものになってきた。反対に、このような社会の変化が引き起こした関心が、研究を加速したという面もあるかもしれない。この本は、ケーニヒスベルグの巡回問題からはじまり、ツリー、格子、ランダムグラフなどの古典的なグラフの特徴を解説した後に、注目のスモールネットワークやスケールフリーネットワークを、ノードの次数、平均距離、クラスタ性、べき則などの概念により、インフォーマルに、わかりやすく定義していく。すごろくや宴会ゲームの例なども、読み物として、というか与太話のネタとしても面白かったし、伝染病やコンピュータウィルスの感染のモデル化の研究紹介や、mixiの流行理由の著者なりの見解などもよい。

ただ、8章のニューラルネットや脳の話は余計な感じ。7章までの内容とあまり関係がない。