チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術

チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術
大橋悦夫/佐々木正悟
日本実業出版社 (2007/07/26)
売り上げランキング: 1012

ライフハックス、スピードハックスの続巻、といってよいだろう。ライフハックスをチームに導入し、チームで活用するためのハックスだと言っているのだから。著者の一人、佐々木氏が正直に言っているが、私も、チームで仕事するのは苦手だし、時にはパフォーマンスが下がるし煩わしい、と思うタイプに属すると思う。多かれ少なかれ、誰でもそう思うときはあると思う。実際、「はじめに」で上げている、

1.責任感が生まれる、

2.アイディアが生まれる、

3.コミュニケーションが生まれる、

4.他人への配慮、

5.安心感、

6、情報共有、

は、いずれもまやかしだ、と思ったことはあるだろう。たまにうまくいくと気持ちいい一方で、通常は機能しないと思っていないだろうか。これらをまやかしでなくすにはどうしたらいいのだろうか。

チームハックスは、メンバーが互いに自分の予定表を公開しあうところから始まるという。これにより、互いに期待を掛け合い、ピア・プレッシャー(ポジティブなプレッシャー)を感じることにより、仕事の効率を上げると言っている。また最後には、リーダーシップからメンバーシップへのシフトを目指すものだといっているが、基本的に賛成。かつて、リーダーシップ研修なる、なんだかイタイものを何度かやらされた。

一方で、まだチームハックスの手法は未成熟な段階だとも思った。というのも、本の内容のいくつかは矛盾しているからである。たとえば、一番ひっかかったのは、忘れないためにはどこか一箇所に予定やメモ等の情報を集めるべき(「超整理法」で言っていることと同じ)としながら、予定表、タスクリスト、をそれぞれに管理するネットサービスや、その活用事例を紹介している。まず、予定表とタスクリストの使い分けが明らかではない。本質的には同じものだと思う。複数のネットサービスを用途別に使い分ければ、そこに連携機能がないならば情報は分散してしまう。ネット上で管理することは、一見どこからでもアクセスできるように思えるかもしれないが、実は自宅と職場からしかアクセスできない。移動中は携帯、といいたいところだが、マナー面やインフラ面から現状ではアクセス不可と見るべきだろう。

当然ながら、自分に応用できるハックだけを選んで使ったり、自分なりにカスタマイズすることが重要。

この続巻も、心理学の側面からの解説が面白い。たとえば↓

ジョハリの窓」による他己紹介の有効性

なぜ、「なぜ?」と尋ねるとうまくいかないのか

エピソード記憶」と「意味記憶」の両方を活用する

現状維持バイアス」をポジティブな方向へ転換する

「防衛機制」が働くとき

人の「自己管理能力」はアテにならない

「成功と失敗の原因」を自分の都合で解釈する