iモード事件

iモード事件
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posted with amazlet on 06.02.16
松永 真理
角川書店 (2000/07)
売り上げランキング: 17,431

リクルートの「とらばーゆ」編集長からNTTドコモへ転職し、iモードのコンテンツ開発責任者として新サービス・ビジネスを立ち上げ、軌道に乗せるまでの3年間の苦労話。iモード単なる情報サービスにとどまらず、多数の企業や個人が新しいビジネスを立ち上げる基盤を与えたことからも、社会的にも非常に影響力の大きいサービスであったといえると思う。本の中では、マッキンゼーvs.松永・夏野両氏の意見対立であるとか、榎氏の組織づくりだとか、とても勉強になるエピソードがいっぱいである。冷静になってみれば当たり前の仕事の仕方、行動の仕方なのかもしれないが、当たり前を当たり前にやることが実は難しい。

一番印象に残ったのは、松永氏が契約の切れる3年で、契約を更新することなく退社を選んだところ。この件に関してはとても歯切れが悪いように思うのだが、それはやっぱり、NTTドコモの社風にはなじめなかったんだろうと想像する。新しいプロジェクトという目標があればこそ突き進めた3年間だったのだろう。逆に、3年ならば、社風が違うとかを乗り越えて、プロジェクトに邁進できなくはないとも言える。うまく手を引く時期も大事である。いつまでもしがみついていると腐ってしまう。「日本の大企業は”就職”というより”就社”の傾向が強いからだ」とある。大企業においては、へたな長居は危険なのかもしれない。