カエサルを撃て

カエサルを撃て佐藤賢一

人類史上最も偉大な英雄の一人であるユリウス・カエサルを描く切り口としては非常に斬新な作品ではないだろうか。皇帝の代名詞であり、神格化された英雄の苦悶というより、中年男の優柔不断が、ガリア王ヴェルチンジェトリクスの若さ、暴力のまえになすすべもない。

しかし、若さを稚拙と侮り、自らに対する言い訳に終始するただの中年とは、カエサルはやっぱり一味違った。ぶざまな中年男と知りながら、新しいローマのために再び情熱を取り戻す様はまさに中年の星。豪傑を描かせたら日本一の佐藤賢一だが、今作のヒーローは豪腕ヴェルチンの影になりつつも、実はカエサルだろう。

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